~強く、美しく、華やかに~女子の琴線をゆさぶるブック特集「西の魔女が死んだ」

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いちじく 舞
ものづくりが好きなフリーライター。 LAVISH GIRL♡のモデル兼ライターを務める。中学時代、細身のガリガリ体質から「ほそぴー」というあだ名を付けられ学校に通っていた。地下アイドル→銀座ホステス→OLという散らかった経歴を経て、現在はライターとして活動中。

幾度と読み返したくなるような本はありますか?

物語を紡ぐ言葉一つ一つが心に養分として浸透していくような本。
人生の節目節目でそっとページをめくりたくなるような本。
日々を暮らしていく上で姿勢をピシッと正してくれるような本。
大切に本棚に仕舞っておきたくなるような本。

日々を暮らす姿勢を正してくれる本 著者:梨木香歩「西の魔女が死んだ」

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私にとってのそんな本、それは「西の魔女が死んだ」です。
この小説は1994年に初版が出版されてから、2017年4月新たに短編が追加収録され再度出版に至ったロングベストセラー小説。

物語はクラス内にはびこる女子特有のシステムに馴染むことができず孤立してしまう主人公「まい」魔女の掟を守りながら自然と共存する「おばあちゃん」の生活を中心に展開されていきます。

この小説の魅力は何と言っても、魔女、もとい、おばあちゃんの過ごす豊かな生活を追体験できるところ。

午前中はおばあちゃんと森に咲く木苺のジャムを一から作り、夜はラベンダーにかぶせたシーツで花の香りに囲まれながら眠りにつく。

本来人間が求めている快適さを追求したおばあちゃんの生活。自然の中に吹く気持ちのいい風を感じながら物語を読み進めることができます。

魔女になるための第一歩は自分の意志で決断をすること

「魔女」と聞くと、箒に乗って空を飛んで…あるいは、おどろおどろしい色のスープをグツグツ煮込んでいる…
なんてイメージが先行してしまいますが、この物語での魔女の定義は「自分のことを自分で決めることのできる」女性。

まいのおばあちゃんは、この世には精神の弱い人間の意識を乗っ取る悪魔がいると唱えた上で、まいに魔女になるための基礎トレーニングとして精神を鍛えることが大切だと語りかけます。

精神を鍛えるためには何をすればいい?そう教えを仰ぐまいに魔女は

「そうね。まず、早寝早起き。食事をしっかりとり、よく運動し、規則正しい生活をする」

引用:「西の魔女が死んだ」著者:梨木香歩

そんな簡単なことで悪魔が防げる?と問いかけるまい。魔女はこう続けます。

「本当に、大丈夫。悪魔を防ぐためにも、魔女になるためにも、いちばん大切なのは、意志の力。
自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。その力が強くなれば、悪魔もそう簡単にはとりつきませんよ。
まいは、そんな簡単なことっていいますけれど、そういう簡単なことが、まいにとっていちばん難しいことではないのかしら。」

引用:「西の魔女が死んだ」著者:梨木香歩

魔女は本物の「贅沢」に気付かせてくれる

一見、浮世離れした存在であるかのように思える魔女は、現実の暮らしの核を見つめ直すきっかけを与えてくれます。本当の豊かな生活とは、何かを手にいれることではなく、今あるものをどれだけ大切にできるか

魔女の自分の人生を生き切る姿勢からはそんな思考をもらえます。

例えば、10代から20代にかけて人はメディアなどの影響を受けながら承認欲求が芽生え、「何者かになりたい」という願望が生まれるのではないでしょうか?

それは、アイドルかもしれないし、野球選手かもしれない。あるいは、公務員かもしれない。

誰かどんな角度から見てもその人に名札を授けられる、そんな安直な完成形を目指してしまう時期が誰しもにあると思います。

ですが、人は「何者」にはなれない。

明日も明後日も苦しいほどに、自分を生きていくしかない人生は「自分」に還るための過程でしかないのです。

だから「何者でない誰か」を「何者でもない誰か」は大切に感じるのだと思います。それは何者でもないから。何者でもなく、ただただあなただから。

だから、同様に自分も「何者でもない自分」を愛することができる。

「西の魔女は死んだ」は自分には何が本当は大切であるのか、それを見つけられるようなそんな本です。

行き詰まった時にページを開いてみてください。

魔女は優しく、あなたの心にも語りかけてくれるはずです。

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いちじく 舞
ものづくりが好きなフリーライター。 LAVISH GIRL♡のモデル兼ライターを務める。中学時代、細身のガリガリ体質から「ほそぴー」というあだ名を付けられ学校に通っていた。地下アイドル→銀座ホステス→OLという散らかった経歴を経て、現在はライターとして活動中。